六帖のかたすみ

DVを受けていた男性。家を脱出して二周目の人生を生きています。自閉症スペクトラム(受動型)です。http://rokujo.org/ に引っ越しました。

書籍レビュー

書籍レビュー: バイオテクノロジーで世界征服 『モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業』 著:マリー=モニク・ロバン 訳:村澤真保呂、上尾正道

★★★★★(・:゚д゚:・)ハァハァ 聞いたことがありますかモンサント。全世界の遺伝子組み換え企業の総本山としてよく知られた企業です。本書はモンサントについて著者が4年に渡る調査を行った結果として書かれた本です。 圧倒的情報量を訳者がさらに補強 まず本書の目玉…

書籍レビュー: 砂穴の中にいるのは私達だった 『砂の女』 著: 安倍公房

★★★★★(°ω°) 私は小説をあまり読んでこなかったので、まず一般的に強く勧められている作品から読んでいきます。自分の好みなんてものは嫌でも後でついてくるでしょうから、当面のあいだは何も考えず受動的に「有名な」ものを読みます。という気持ちでこの小説…

書籍レビュー: マーケティングの教科書×ジョブズ×エリート礼賛 『Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学』 著:ケン・シーガル 訳:高橋則明

★★★★★ 著者のケン・シーガルはアップルに長年勤めた広告マンです。スティーブ・ジョブズを広告面から陰で支えた存在と言えるでしょう。本書は、アップルの「Think Simple」という哲学をタイトルに冠しその詳細を10項目にまとめた(体裁の)の本です。 シンプ…

書籍レビュー: ローマ人はオープンすぎ!『ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下)』 著: 塩野七生

★★★★★ 全43巻中の2巻、本書では紀元前453~270年ごろまでを扱います。文庫になる前は1・2巻で一つの単行本でした。文庫は持ち運びやすくとても助かります。 1・2巻ではただの一地方都市に過ぎなかったローマが王政を経て共和制に移行し、領土を拡大しながら…

書籍レビュー: リーマンショックを物語風に味わう『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上)』 著:アンドリュー・ロス・ソーキン 訳:加賀山卓朗

★★★★★ 投資で一番怖いのは金融危機による暴落です。7年前にはリーマンショックという未曽有の危機が起きていましたが、当時の私は何のことか全く理解していませんでした。なんか銀行が破綻したせいで世界中が不況になったんだって。以上のことは知りませんで…

書籍レビュー: こどもたちに捧ぐ『二十四の瞳』 著:壺井栄

★★★★★ 8月ですので 戦争関連の小説を一つセレクトしました。小説はまず名作から読んでいくつもりです。本作は何度もドラマ化・映画化されている超有名作ですのでいまさら感がありますが、原作は読んだことがありませんでした。 作者の壺井栄(1899-1967)は香…

書籍レビュー: 自伝的耽美うつ病小説『車輪の下に』 著:ヘルマン・ヘッセ 訳:秋山六郎兵衛

★★★★★ 小説もたくさん読んでみたいですが私は漫画ばかり読んで小説をあまり読んでこなかったので、古典的名作を中心に読んでいこうと思います。 日本では有名だが実は作者が若いころの作品 著者のヘルマン・ヘッセ(1877-1962)は20世紀前半のドイツ文学者の代…

書籍レビュー: 感染症を見る目が変わる『感染症と文明―共生への道』 著: 山本太郎

★★★★★(*´ω`*) 著者の山本太郎さんは小沢一郎と組んだあの人ではなく、アフリカやハイチなどで感染症対策に従事した経験を持つ医師です。 「感染症」をキーワードとして読み解く人類史 狩猟生活から農耕生活に人類が移行したため、単位面積当たりの人口が増…

書籍レビュー: 反則!現場の重み『みんな大好きな食品添加物』 著: 安倍司

★★★★★ 元添加物商社マンの懺悔の書 著者の安部司さんは、国立大の化学科を卒業し添加物を売る敏腕商社マンとしてバリバリ働いていました。添加物で数々の食品加工会社に大きな利益をもたらし「添加物の神様」と呼ばれていました。 ある日、こどもが食べよう…

書籍レビュー: 歴史は紀元前から繰り返している 『ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)』 著: 塩野七生

★★★★★ 歴史を学びたい 私は世界史が苦手でした。高校時代の私は想像力なんてものがからっきしでしたので、人物と出来事を羅列されるだけの授業は退屈極まるものでした。進学校でしたので定期テストの全教科に順位がついて返ってくるわけですが世界史はいつも…

書籍レビュー: 辰濃先生と名文鑑賞会だ! 『文章の書き方』 著:辰濃和男

★★★★★ 著者の辰濃和男さんは、天声人語の元筆者です。私は文章が上手ではないのでこういう本にはつい手が伸びてしまいます。でも著者紹介を見てちょっとがっかり。天声人語はエリート意識の強い文が多くあまり好きではないので期待していませんでした。しか…

書籍レビュー: 原作を凌駕するクズ達による魅力的な 『NHKへようこそ!』 漫画: 大岩ケンヂ 原作:滝本竜彦

★★★★★ 数年前にこの漫画を読んで何カ所か衝撃を受けました。いま読み返してみると、細かい点で気になるところはあるけれど、優れている。何が優れているのか自分なりにできるだけ解釈していきます。 ダメ人間のためのひきこもり漫画 大学を中退して引きこも…

書籍レビュー: きっと、楽になれる 『ひとを「嫌う」ということ』 著: 中島義道

★★★★★_(┐「ε:)_ ひねくれた哲学者による「嫌い」論 著者の中島義道(1946-)さんは、ドイツ哲学者?です。しかし彼は学者という言葉が嫌いで、反社会的な面の強い異端な人です。それもそのはず、大学を卒業するのに12年かかる、東大助手から何故かぶっ飛んで電…

書籍レビュー: 肉を食うか?世界を救うか?『ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト』 著:フィリップ・リンベリー、イザベル・オークショット

★★★★★ 工業的農業の不自然さを告発する本 著者のフィリップ・リンベリーは Compassion Of World Farming という動物福祉の慈善団体の代表です。 Compassion in World Farming | Compassion in World Farmingwww.ciwf.org.uk 彼がイギリス・アメリカ・中国・…

書籍レビュー: 万能の1冊『Programming PHP (3rd edition)』 著: Rasmus Lerdorf, Kevin Tatroe

★★★★☆ これ1冊でPHPプログラミングは十分可能 基本的な言語仕様から、Cookie、PDOを使ったデータベース操作、セキュリティ入門、画像作成やPDF作成、XML操作、RESTfulなサービスなどのトピックを盛り込んだボリュームのある書です。特に言語仕様については詳…

書籍レビュー: 経済学を壮大に総まとめ 『経済学大図鑑』 著:ナイアル・キシテイニー 訳:小須田 健

★★★★☆ 経済学の主要なトピックを簡潔に網羅した良書 本書は経済学の主要な論点を時系列順に並べ、おおむね2~4ページで簡潔に紹介するスタイルを取ります。ただし、主要な論点だけで100を超えます。それほど経済学は奥が深いということです。 まずこの本の装…

書籍レビュー: 鋭く的確な現場の目 『福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間』 著: ハッピー

★★★★★ 現場の目から見た福島第一原発事故 著者は原発作業に20年以上従事している大ベテラン作業員です。東電と交渉している記述も見られますので、作業員を束ねるチームリーダー的な立場で働いていると思われます。この書籍は彼が事故直後から現実にtwitter…

書籍レビュー: 科学者の自負をかけて 『お母さんのための「食の安全」教室』 著: 松永和紀

★★★★☆ 必要ができたので食・農薬・原発関係の本をしばらく物色します。 一般向けに科学者の立場から見た食の安全を語る 放射性物質や化学物質、遺伝子組み換え食品や微生物など食の安全に関わるトピックを30ほど取り上げ、科学ライターとしての著者の知見を…

書籍レビュー: 定番かつ優れた人生論・自己啓発書!『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』 著: スティーブン・R・コヴィー

★★★★★(・ω<)☆ 大ベストセラーの評判通りの良書 本書は世界で3,000万冊、日本でも180万冊売れている書だそうです。私は人生哲学・自己併発系の書籍を読むのは初めてです。win-winという言葉は代ゼミの講師が良く利用していたので聞いたことがありましたが、こ…

書籍レビュー: 毎日新聞まとめ 『農から環境を考える』 著: 原剛

★★☆☆☆ 取材とインタビューを交えつつ日本の農業を憂う 著者の原剛さんは1938年台南市生まれ、元毎日新聞論説委員です。あとがきによれば毎日新聞に執筆した社説、記者の目、特集などに加筆して作った本だそうです。 新聞がベースだけあって、IPCCのバート・…

書籍レビュー: セブン流ここに極まる 『セブン-イレブン 終わりなき革新』 著: 田中陽

★★★★★ 私はほぼ毎週セブンイレブンを利用しています。生活に密着する企業の本には興味が出るものです。 セブンイレブンの成長過程とその手段を熱い筆致で綴る この本は日経の記者がセブンイレブンを長期間取材して書いた熱のこもった一冊です。連載なのか書…

書籍レビュー: 飯野一、小出浩平 - はじめての人のマーケティング入門(かんき出版)

★★★★★ マーケティングとは何か 本書はマーケティングの入門書です。マーケティングとは、『企業が効率的に売上を上げ、利益を獲得していく仕組み』であると冒頭に記述があります。 我々は物質的制約・時間的制約・金銭的制約のもとに生きています。商売のた…

書籍レビュー: 流通はダイナミックで面白い 『流通のしくみ』 著: 井本省吾

★★★★★ 「大手小売業の動向」が秀逸 入門書ということであまり期待していませんでしたが、この本は大当たりです。優れているのは第三章の「大手小売業の動向」です。1904年、明治37年に三越百貨店がオープンしてから、百貨店の隆盛と衰退、変わってイトーヨー…

書籍レビュー: インターネットはプル型メディア 『売上と集客が確実にアップする 儲かるキーワード広告の使い方』 著: 竹内謙礼

★★★☆☆ 偶然ですが、意図して選んでいないのに直近に読んだ本と著者がかぶっていました。 竹内謙礼 - 売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方 - 六帖のかたすみrokujo.hatenadiary.com 要点とそれ以外 この本のポイントは、次の2点に絞られているよ…

鈴木康之 - 名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方

★★★★★ コピーライターの鈴木康之さんは1937年生まれ。今でも現役で講演活動をしていらっしゃいます。もう80歳近いのですね、お若いです。 内容 新聞広告を中心とした名作コピーを掲載し、鈴木さんがその文章のどこが素晴らしいのか、どのような点に着目して…

エビスコム - HTML5&CSS3デザインブック(ステップバイステップ形式でマスターできる)

Amazon.co.jp: HTML5&CSS3デザインブック (ステップバイステップ形式でマスターできる): エビスコム: 本 ★★★★☆ 直感的で分かりやすく、しかもソースは全て本の中にある HTML5/CSS3のごく基本的な知識を前提に、レスポンシブWebデザインを導入したサイトをど…

竹内謙礼 - 売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方

Amazon.co.jp: 売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方 増補改訂版 (日経ビジネス人文庫): 竹内 謙礼: 本★★★★★ これはよくできた本だ。キャッチコピーの出来に売り上げが大きく左右されるのは、新聞広告、電車の吊り広告、そしてウェブ広告を見れ…

嶋村和恵, 電通 - 新しい広告

広告についての大学用教科書という感じでややお堅く、表現にパンチが無いが内容は極めて面白い。広告というのは経済活動の最も末端に位置する生産者と消費者を結ぶ橋渡しの役目だけではない。情報発信こそが広告の役目であり、それは企業からだけではなく、…

太田 忠 - 賢い投資家必読! 株に強くなる本88

★★★★☆ 著者 太田忠は証券会社から独立した投資家、企業化。ドイチェアセットやらJPモルガンやら、有名どころの外資企業の出身である。 投資講座、株式投資入門、資産運用なら太田忠投資評価研究所株式会社 彼は文学部出身という引け目を武器に変え、25年で2…

日本経済新聞社 - 検証バブル―犯意なき過ち

★★★★★ 日経がまとめたバブル通史。私はバブルが発生している真っただ中においてはほんの子供であったため、何が起こっているかは全く知らなかった。 そういえば80年代の終わりか90年代初めに、祖父が家族に株を買うことを頻りに勧めてきた記憶がある。もちろ…