書籍レビュー:『双極性障害(躁うつ病)の人の気持ちを考える本』 著:加藤忠史
★★☆☆☆
初めて知る人にはいいと思いますが通り一遍のことしか書かれておらず新しい知見を得ることができませんでした。躁状態にあまりスポットが当たっていないことと薬の情報が全然ないことが不満です。
こちらをお勧めします
書籍レビュー:人体図がほしかった『図解 ホームマッサージ―すぐに使える部位別・症状別・セルフマッサージ』
★★★★☆
地味な本ですが当たりでした。マッサージの基礎と人体への効用、軽擦法(なでる、さする)・揉捏法(押す、もむ)といった指や手首の使い方を簡単に解説した後は、90か所ほどの大量のマッサージ方法が図解されています。
図は写真にマッサージ個所と力の入れ方と方向を書き加えたもので、直感的でわかりやすいです。ただ「尺側手根屈筋」「僧帽筋起始部」などの聞いたことのない筋肉の名称の解説がないのが残念です。用語解説はあるんだけれど言葉で解説されたってわからないよ!図を見ればマッサージ自体はできるので実用上は問題ないのですが、理論的にどうなっているのかがわからないのが気持ち悪いです。人体解剖図を別に仕入れるしかないですね。
参考書籍
ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典―部位別・動作別にわかりやすくリアルに徹底解説
- 作者: 川島敏生,栗山節郎
- 出版社/メーカー: 成美堂出版
- 発売日: 2012/03/23
- メディア: 単行本
- クリック: 7回
- この商品を含むブログを見る
次はこれかな?
書籍レビュー: 実務寄りでバランスの取れた入門書『躁うつ病はここまでわかった 第2版』 編:加藤忠史
★★★★★
ここのところ仕事が詰まっていて時間が取れませんでしたが何とか読めました。
躁うつ病の簡単なイントロから薬物、治療法、体験記とQ&Aからなる躁うつ病の入門書です。編者の加藤先生が書いている「躁うつ病の原因はどこまでわかったか」「躁うつ病Q&A」は特に充実しており読みごたえがあります。
時間がないので印象に残った点だけ簡単に書いておきます。
・躁うつ病はうつ状態の方がきつい、一般的なうつ病と比べても症状は急性で自殺企図率も2倍ある。単極のうつ病と誤診されやすく、抗うつ薬を投与すると躁状態が過剰になって危ない。
・患者は母親の期待に応えようと「いい子」を演じていることが多い、母親は概して過干渉。
・加藤先生の説では、ミトコンドリアのDNA欠失(後天)によるカルシウム濃度のコントロール不全が原因なんじゃね?とのこと。2012年時点で、徐々に浸透してきている考え方らしい。
・加藤先生は年に4回以上の周期がある「ラピッドサイクリング」患者を診ていた経験から、我々の脳にはもともとうつ状態なら気分を上げる、躁状態なら気分を下げる神経の機能が脳に存在し、これが弱ると躁うつ病になるのでは、という仮説を立てている。納得できる。
・敷島カエルさんの闘病体験期では「気分の波がなくなることはないが、激しい波をさざ波にすることはできる」と述べていらっしゃる。さざ波、というのはいい表現だと思った。
・進化論的に見ると、季節性の躁うつ病は冬に長く寝て過ごすことができ、春には躁になって食料を確保できるという点で病気のない人よりも適応したのではないか、という面白い考え方もある。
以上です。今後はもっとたくさん本を読んでいこうと思います
書籍レビュー: わかりあえてない『一緒にいてもひとり―アスペルガーの結婚がうまくいくために』 著:カトリン・ベントリー
★★☆☆☆
タイトルに惹かれました。
オーストラリアに旅行中だったスイス人の著者カトリンとオーストラリア人のギャビンが出会い数日で恋に落ち、結婚したところから物語が始まります。
著者の夫ギャビンは天才型のスペクトラム星人です。会計の仕事も投資も超出来るし、テニスも上手い。ジョークのセンスもある。そしてカッコいい。しかし結婚式でジョークのつもりでディープキスをしたり、大好きなゴルフのことをいつまでもしゃべり続けたり、子供が病気になるといつもと違うパターンだからパニックになったり、と振幅の非常に大きな人物です。
ギャビンは天才型ですから自信に満ちており、カトリンの言うことに全く妥協しません。口論があれば自分は絶対に悪くないと言い張ります。疲れたカトリンは故郷のスイスに帰ろうと一時は決心しますが、紆余曲折あってギャビンがアスペルガーと診断され、なあんだじゃあしょうがないわね、と納得してまた元に戻る、というのが大筋の話です。訳が悪いのか、本文がもともとひどいのか、論旨が分かりにくく読み進めるのが困難でした。
本全体から2人は全然分かりあえてないんだなぁと感じました。
最初の息子マークが生まれたときの描写です。
ギャビンはマークの小さな手や足で遊び、ついには空中に少し投げ始めました。(中略)彼は、腕の中の赤ん坊がただの遊び友だちではなく、感情や考えをもった小さな人間だとは思わなかったのです。その子が将来自分を見上げて、援助とリーダーシップを求めてくるだろう、父親に自分を理解してほしい、友達になってほしいと言ってくるだろうとは思っていなかったのです。(P80)
これひどくないですか?
ギャビンは子供をモノ扱いしたって断言してますよ?
本文を読めばギャビンは子供をとても愛していたことがわかりますし、つい嬉しくなって赤ん坊が身体的に弱い存在だって忘れちゃっただけじゃないですか?もちろん危ないから止めるべきですが。
次のページにも首をかしげました。
ギャビンに心の理論がないことを示す面白い出来事がありました。出産から5日後、私は数時間の外出を許されたので、ギャビンに服を持ってきてほしいと頼みました。そうすればアイスクリームショップに行けますから。彼はサイズ8の超ピッタリのジーンズとミッキーマウスのTシャツを持ってきました。妊娠中あまり体重は増えませんでしたが、このジーンズがはけるとは思えませんでした。(P81)
え?
それ心の理論関係なくないですか?
いつもサイズ8のものをはいてるから、やった!いつものサイズあったよよかった!っていう気持ちで持ってきてくれたのでは?
心の理論とはこういう奴です
本書、「ギャビンには心の理論がないから~」という記述が散発します。著者さんは、心の理論=思いやりの心って短絡して考えているようですし、しかもギャビンに他人を思いやる気持ちがまるでないような記述がたくさんあります。分かってくれなくて当然、だから「一緒にいてもひとり」というわけです。第16章のタイトル「身体はあるけど心はない」という題が心なさをひきたてています。
これは間違いです。
心はあります。表現することが難しいのです。
ないって言いきってほしくありません。
すごく悲しいです。
書いているうちに腹が立ってきたので星をもう一つ下げました。
「ASの人は違う方法で愛情を表現する」など理解を示す記述もあるのですが、それもギャビンに定型と同じ方法を取らせて解決するなど、ストレス負荷の高い方法を取らせているのでなんだかなぁ。
わたしの結婚は一体なにがいけなかったのか、どうすればよかったのか、何らかの示唆が得られれば良いと思いましたが、むしろ定型の人と理解し合うことが余計に難しいと思わされました。
わたしはパニックになるといわゆる自閉的行動をします。言葉が明瞭に出なくなったり、頭をふるふるしたり、目の色が乾いたり自分でも気づいていない症状がでるそうです。
この行動は「怖い」という印象を抱かせるそうです。
理解できない。怖い。だからやめてちょうだい。子どもも真似するでしょ。あんなふうになってはいけないよ。
こんな気持ちが相手の根本にあったら分かりあうなんて不可能です。
一体どうすればよかったのか、まったくわからなくなりました。残念です。
書籍レビュー: よくわからなかった『よくわかるパニック障害・PTSD』 著:貝谷久宣
★★☆☆☆
恥ずかしながらほとんど知識がないので入門書っぽいものをセレクトしました。
パニック障害についてはこれといった原因は分かっていません。人間が恐怖や不安から回避するための機能の誤作動と考えられています。まだ仮説の段階です。動悸・息切れ、過呼吸、目まい、離人症状、緊張、脱力などが主な症状です。厄介なのはパニック反応自体が恐怖や不安を引き起こすために、その反応の回避のためにパニック反応が起こり、またその反応の回避のためにパニック反応が起こり、、と無限に連鎖していって最終的には動けなくなってしまうことです。
PTSDはいわゆる「トラウマ」体験による症状が1か月以上続いた場合と定義されており、診断基準も明確です。フラッシュバック(現在のように再体験)、回避・麻痺(関連する事柄を避ける、無反応)、覚醒亢進(眠れない、神経過敏など)が主な症状です。
いずれもうつ症状を伴うためSSRI(パキシルとか)が有効です。知りませんでした。薬の種類と診断基準については本の厚さの割に非常に詳しいです。逆に言うとそれ以外の情報量が不足しています。薬のことは知ってるし診断基準を知ったって素人判断じゃダメなんだから書いたってしょうがないっつーか。
たとえば規則正しい生活リズムが大事とか3食食べようねとか入浴しろ運動しろアルコール飲むなとか様々な指示がありますがそんなん誰でもわかってるしできたら苦労しないわボケー!家族の協力と支えが不可欠っつたって家族が当てにできない人間はどうするんじゃー!
あと圧倒的に少ないのは実際の患者の声!ちょろんと8P分しかなくしかも要所要所ぼかしてあって全然参考にならねー!
やっぱり入門本はだめだと思いました。通り一遍の知識は手に入りますがそんなんじゃしょうがないんだよな。
あとこういう本って必ず前向きになろうぜって書いてあるんだけど前向きにならざるを得ないんだよね後向きになった瞬間にマイナススパイラルに入ることが分かってるんだから。
関連書籍
まあ順当にここらへんがいいんでしょうね。
不安障害の認知行動療法〈1〉パニック障害と広場恐怖―患者さん向けマニュアル
- 作者: ギャビンアンドリュース,ロッコクリーノ,キャロラインハント,アンドリューペイジ,Gavin Andrews,Andrew Page,Rocco Crino,Lisa Lampe,Mark Creamer,Caroline Hunt,古川壽亮,リサランプ,マーククリーマー
- 出版社/メーカー: 星和書店
- 発売日: 2003/04/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
不安障害の認知行動療法〈2〉社会恐怖―患者さん向けマニュアル
- 作者: ギャビンアンドリュース,ロッコクリーノ,リサランプ,キャロラインハント,アンドリューペイジ,Gavin Andrews,Andrew Page,Rocco Crino,Lisa Lampe,Mark Creamer,Caroline Hunt,古川壽亮,マーククリーマー
- 出版社/メーカー: 星和書店
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: ギャビンアンドリュース,ロッコクリーノ,リサランプ,キャロラインハント,Gavin Andrews,Rocco Crino,Lisa Lampe,Mark Creamer,Caroline Hunt,古川壽亮,マーククリーマー
- 出版社/メーカー: 星和書店
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
洋書で一番人気のあるやつ
The Body Keeps the Score: Brain, Mind, and Body in the Healing of Trauma
- 作者: Bessel van der Kolk M.D.
- 出版社/メーカー: Penguin Books
- 発売日: 2015/09/08
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
カズシゲ
マインドフルネスは自分も実践してみたい
うそつけ
書籍レビュー: たぶん当事者専用『無限振子 精神科医となった自閉症者の声無き叫び』 著: Lobin H.
★★★★★( ˘•ω•˘ )
表紙買いです。この表紙すごく気になりました。
この本には呼ばれていたのだと思います。自閉症関連の本では現時点で最強です。
著者のLobinさんはカナー型自閉症かつ高機能、なんと精神科医です。プライバシー保護のため仮名にされているのが実に残念ですが仕方ないです。表紙イラストもLobinさんによるもののようです。ああやっぱりな。
背表紙も目を突き刺します

中身は著者の半生記とも呼べるもので私なんかよりよっぽど苦しい人生を送っているわけですが、一番心を打ったのは本文の文体から感じられる雰囲気全部です。私の文章とそっくりなのです。特徴的な分かち書きを多用する、話が飛ぶし指示代名詞がどこから来たのかわからなくなるし、自分の中の固定観念っぽいものを他の人間もまるで分かっているかのような口調で書くし、とにかくユーザーに優しくないのです。終盤にサポーターの先生2名(常識人)の解説があるのでこれを読むと彼女の文章が一層引き立ちます。
人に対する"love"という感情は、私の中には存在しません。物は愛します。物には簡単に"love”を抱きます。でも人には、せいぜい"like"までです。その男子にも、ただその目立っているカリスマ性の様なものに惹かれ、例の通り、私はその人を真似しようとしました。(P26)
分かりますかこの違和感?文面からは分かりづらいけどなんとなく感じる普通の文章とのずれ。全く言語化できなくて申し訳ありませんが何か違うんです。
なお本全体を読んだ感じだと、彼女のなかにloveは存在しています。特にセラピストの坂本先生やP69に出てくる「同じ世界に居る」人に向けられた気持ちはどう考えてもloveでした。ただ表出方法が普通の人と違うだけです。そう考えると一般的な言語であるloveという言葉に当てはめるのは適当ではないかもしれません。同様の理由でlikeも適当ではありません。
内容の詳細については直接読んでいただきたいので書きません。手記の内容は超ブログといったような感じで精神力を絞って泣いて泣きながら書いたことが推測されるような大作です。P80-81の障害者センター見学の様子は感動的でした。
もう1点だけすごく気になったところを引用します。
わたしが最も印象に残っているものは「あなたは自閉症とはどういうものだと考えていますか?」という質問です。私は暫く考えて、「自分の事も他人の事も解らない」と答えました。咄嗟に答えた事ですが、今も正にこれがASDの本質だと、私は思っています。
わたしは未だに何故家を出たのかわかりません。もう3か月も経ちましたが総括に至っていません。人に説明できたことがありません。言いたくなくて言ってないのではないのです能力的に言えないのです。置いて行かれたこどもにとっちゃひどい話ですが理由もわからずとにかく出ました。
自分も他人も解らない。これが本質であることには疑いが全くありません。なんでみんな「~~~だからさ!!!!」って明確に理由説明できるん?そして理由を他人にも求めるん?
まともに解説できなくてごめんなさい
(追記)参考書籍
Lobinさんは「仮面」を使って生きていたと告白しています。他人にとって理解されないであろう自分を覆い隠し、生きていく上で必須の社会性を自動化させるためのツールです。「仮面」の元ネタはこれです
わたしも身に覚えがあり過ぎるのでこれも読んでみないといけません。
Lobinさんが好きだったというねこぢるの作品です。前から思っていましたがこれは自閉症と親和性の高い作品です。うちにもありましたがこどもに良くないという理由で廃棄しました。もう一度読みたいです。
なぜよくないかというとねこぢるは首をつって自殺しました。夫の手記です
書籍レビュー: 10回読めば金融脳 『国際金融入門』 著:岩田規久男
★★★★☆
黒字主体から赤字主体へお金を融通するという金融の超基本からはじまり、円高・ドル安の意味や固定相場制・変動相場制の意義に20世紀以降の簡潔な金融史までを含んだ超高密度な国際金融の基本書です。
経済学を学んだことのある人からしたら神レベルのまとめ本だと思います。ただ私のような経済のドシロウトが読むには骨が折れました。もっと図をたくさん出してほしい。ほとんどの説明を言葉で済ませているために、頭の中で「これはドル高だから円安で~」とか「輸入障壁が下がる→輸入増→国内産業の需要減→生産減→失業増」みたいな変換を毎回していかないといけないので、とても追いつきませんでした。
最初の1冊としては不向きですが、日ごろFXなどで国際金融に親しんでいる人からすれば、知識を確実にするためにふさわしい1冊と言えるでしょう。そうじゃない人は繰り返し読みましょう。何度も読めばきっと金融脳になれます。
一つわかったことは為替といえども人々の期待によってオーバーシュートすることは株や先物と全く変わらないということであり、為替リスク・プレミアムなるものも存在します。ちょっとした逸脱は中長期的にファンダメンタルズに吸収されてしまいます。
そう考えるとレバをかけて借金することが必須であるFXは長期投資を前提としない無理ゲーということもわかりました。
内容をまともに解説できない時点で私の理解が追いついてないことがよく分かりましたので他の本も読みます。
姉妹本はこちらです
次はレベルを落としてこれを読んでみようと思います










