フィスコレポートを読む 3800 ユニリタ、9607 AOI Pro.、3392 デリカフーズ、3250 エー・ディー・ワークス、7893 プロネクサス、3179 シュッピン、7508 G-7ホールディングス、4350 メディカルシステムネットワーク、9995 ルネサスイーストン、2485 ティア
3800 ユニリタ
成長期待候補。財務は超健全。基幹業務システムの開発・販売を業とする地味な会社だが、前期にデータ活用会社のビーコンITを吸収合併し、事業の相乗効果を狙う。吉と出るか凶と出るか。
ビーコンITとの合併により売り上げは大幅増加したが、グループシナジーのための基盤作りの支出を計上したため営業利益率が大幅ダウン、しかし20%台を保っており、強い。
大きい利益率は同社のメインフレーム事業によるものだ。メインフレームは縮小業界だが金融・損保でまだ相当数が使われており、残存者効果もあり利益率が異常に高い。ここで稼いだ金を成長産業に投資できるという大きなメリットがある。ビーコンITの吸収合併はそのような狙いの一つと思われる。
同社の株価は2013年から一貫して右肩上がりだが、成長余地はこれからだというのにPERが10倍程度と妙に安い。特に地雷は見当たらないので、注目するべき株の一つだろう。
9607 AOI Pro.
老舗の大手広告制作会社。リーマンショックでも赤字にならない安定性と高い成長率、なぜか同業他社より割安な株価が特徴。インターネット動画広告にも多数進出しているため、しばらく安定性しそうであるが、広告業界は景気の影響をもろに受ける(同社の株価は一時高値の1/3になっている)ので二の足を踏む。6月頭からなぜか株価が20%も値上がりしているため、買うのは手控えられる。
3392 デリカフーズ
外食・中食向けカット・ホール野菜卸会社。ユニークな業務である。カット野菜が主利益源であるため、成長するためには工場の増設が不可欠で、必ず費用が掛かる。生鮮食品の特徴なのか、営業利益率2.7%は低すぎ(といっても、同業他社は平均1.1%ともっと低い)で費用増が大幅利益減に即繋がり、2つ工場を増設する来期は大幅減益予定である。若干割高だった株価は右肩下がり気味。食品卸ってあんま儲かんないね。
3250 エー・ディー・ワークス
ウェブサイトが綺麗で軽い。個人富裕層向け投資用不動産販売、というターゲット層を明確にした不動産屋。好景気をバックに業績は成長しつつあるが、株価が何故か44円しかない。謎すぎる。なぜ44円?
7893 プロネクサス
IR情報の作成を受託する、という誰も思いつかないオンリーワンな会社だが、すでに受注率は上場企業の60%に達しており、成長性が全くない。売上は10年間ほぼ横ばいである。しかし何故か株価は上がっている。株価は収益性と連動するとは限らない、という好例である。
3179 シュッピン
個人投資家ブログで取り上げられることがある銘柄。中古高級カメラ、時計に絞り込み、ECの売行増と店舗売りのインバウンド需要により売上大増加中の会社だ。が、レポートを読むと実店舗のインバウンド狙いよりも本業のECにリソースを集中している企業であることが分かる。参入障壁、値下がり懸念のない商品にターゲットを絞り込んだ戦略性、年30%以上の成長を今後3年間見込める成長性、バラ色の銘柄である。そのためPERは32.27倍と割高でとても買えない。
7508 G-7ホールディングス
オートバックスと業務スーパーが主業務。消費増税で絶不調の今期に変わり来期は65%利益増予定、という決算発表後に一気に1.5倍まで値上がりした。未だに株価は超安値のPER8.97倍。オートバックスは景気変動多すぎ・競合多すぎであまり魅力的な業態ではないが、業務スーパー単一業態だったら買うかもしれない。
4350 メディカルシステムネットワーク
調剤薬局「なの花薬局」と医薬品ネットワークが主業務。医薬品ネットワーク業が優れたビジネスモデルで、薬剤の卸会社と薬局の間に立ち、薬剤の融通をする。薬局は価格交渉が有利になり、メディカル社は手数料を稼げる、卸会社は大口の取引先がゲットできるという3社がwin-win-winなモデルだ。独自性も障壁も大きいから利益率も54.6%と異常に高い。
しかし売り上げの大半を占める調剤薬局業務はM&AのしすぎでD/Eレシオ (有利子負債÷自己資本)392.3%と強気に借金し過ぎ。利息が利益の約10%を食いつぶしている。最近増資をして株価は低迷している。PER11.11倍と安めだが、借金の多さを考えると怖い。
9995 ルネサスイーストン
半導体を扱う商社。あまり魅力的ではないので、飛ばします。
2485 ティア
名古屋の成長中葬儀屋。関東でも越谷、鳩ケ谷に進出している。IRが充実しておらず、ウェブサイトを見てもどういうビジネスモデルなのかさっぱりわからない。利益率は意外にも10%程度と、低くない。葬儀の単価が同業他社と比べて1/4ほど安いことが強み。フランチャイズ事業にも手を広げており、今は売上構成比が3%しかないが、利益率が高く成長が期待される。葬儀業界は今後老人が増えるため2040年まで安定成長するそうだ。今後は金が余っている年金世代が亡くなっていくから、単価が激減することはなく同社の大幅な減益は考えにくい。葬儀で成長ってありなんだ、と驚いたレポートだった。
足元の株価のPER19.86倍は売上の年平均成長率6.8%と天秤にかけるとやや高め。年初から一貫して上げトレンドである。最近流行のAKBのCMで爆上げなんてことは絶対に起きないので、じわじわ上げる銘柄が好きな人向け。