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六帖のかたすみ

DVを受けていた男性。家を脱出して二周目の人生を生きています。自閉症スペクトラム(受動型)です。http://rokujo.org/ に引っ越しました。

書籍レビュー:じゃあ男がクソだった場合はどうすればいいんだよ『離れていても子どもに会いたい―引き離された子どもとの面会交流をかなえるために』 著:小嶋勇

★★★★☆

 

先に断っておくと、私の話ではありません。いやもちろん私も会いたいですけど、私の話ではなく、身近な人間のために調べていることです。

 

日本では離婚した夫婦に子があった場合は、離婚後は共同親権をとらず単独親権を採用しています。つまり父か母のどちらかが親権を独占します。親権を得られなかった親は子に対する権利を失います。

日本では「追い出し離婚」といって夫が密かに離婚届を提出し、気に入らない妻を追い出し締め出してしまうことが横行していました。今では離婚届の不受理制度というものが導入されたらしく(詳細については書いてありませんでした)このようなことは原理的には不可能となったらしいですが、それでも強制的に協議離婚にサインをさせれば似たようなことは可能です。いわば「外様」となってしまった元配偶者は子に合わせてもらえなくなったり、面会の希望を出しても一々理由をつけて断られるとなどということは日常茶飯事です。

本書はDV法を使用して妻に締め出された夫についての話が大部分を占めますが、正直な話、夫側の主張はどれも粘着質でお前それだから出ていかれたんちゃうんかと言いたくなるような例ばかりです。

しかし逆のパターン、夫が妻を追い出す「追い出し離婚」の例は深刻です。何故なら男はアホなので暴力や恫喝に訴えて相手を支配する生き物だからです。体裁は協議離婚という形をとりつつ、脅迫して無茶な内容の取り決め書にサインさせられます。また男の方が経済力を握っていることが多く、カネに物を言わせて弁護士も雇うこともできます。

 

以下は個人的メモとして残しておきます。

監護親が再婚すると親権の変更ができない

そもそも、離婚後、子どもが再婚相手と養子縁組をするに際し、非監護者・非監護親の同意は不要とされている上、家庭裁判所の「実務」では、離婚後、再婚相手とこどもの養子縁組がなされた場合には、もはや非親権者・非監護親には、親権者変更の申立ては認められないとされている(P99)

別れた元夫が妙に再婚を急いでいると思ったら、上記の「実務」目当ての知恵を弁護士に吹き込まれてると思った方がいいでしょう(そんな理由で再婚するのはクソだけど)。

面会交流が親の権利である根拠

東京家庭裁判所1964年12月14日審判

親権もしくは監護権を有しない親は、未成熟子と面接ないし交渉する権利を有し、この権利は、未成熟子の福祉を害することがない限り、制限されまた奪われることはない。」

 

子どもの権利条約第九条 (日本では条約は法律より上位の規定です)

一 締約国は、児童がその父母の意志に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として摘要のある法律及び手続きに従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りではない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。

三 締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する

 

平成24年改正民法766条

第1項 父母が協議上の離婚をするときは,子の監護をすべき者,父又は母と子との面会及びその他の交流,子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は,その協議で定める。この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない

(太字部分は平成24年改正前には存在していなかった文言です)

 

なお、著者は一方の親が他方の親に面会を認めないことは憲法24条にも違反するとの見解です。

第二十四条 

第一項

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第二項

配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

筆者はまず、子どもの利益が最優先されるべきであるという原則から、面会交流はこどもの権利であるとします。こどもの権利は親の義務です。そしてそれは、監護親の非監護親に対する義務でもあると主張します。それは憲法24条の「夫婦両当事者の個人の尊厳と本質的平等」に合致するものだ、というわけです。引用します。

 ここであらためて指摘すれば、離婚後の親権者・監護者の指定と監護者とならなかった親とこどもとの面会交流は関連して論じられるべきです。そして、共同親権・共同監護に変わる方法として、親権者と監護者を両親に別々に帰属させるということ、その上で、現在の民法を前提として、離婚後の監護者を一方の親に指定した場合、当然の権利として、監護者とならなかった親と子どもとの面会交流が保証されなければなりません。以上が、憲法24条の趣旨に基づく、夫婦両当事者の個人の尊厳と本質的平等に則っていると評価できるのです。

日本では共同親権・共同監護の制度はありませんから、せめて親権と監護者を別々にしないか、という提案もしています。すごいですね。でも暴力夫はそんなもん認めるわけありません。家庭裁判所の実務でも、面会交流が非監護親に対する義務であるなんて全く考えていないらしいです。

ではどうすればいいのか。本書は残念ながらその答えを全く提供してくれませんでした。まだまだ他の本を調べる必要があります。

 

 

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次はこれですね。私が知りたいのは夫が妻を追い出した場合です。はたして書いてあるのでしょうか。

子どもに会いたい親のためのハンドブック

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