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六帖のかたすみ

DVを受けていた男性。家を脱出して二周目の人生を生きています。自閉症スペクトラム(受動型)です。http://rokujo.org/ に引っ越しました。

書籍レビュー: システム化しまくれ!『自閉症スペクトラム入門―脳・心理から教育・治療までの最新知識』 著: サイモン・バロン=コーエン

★★★★★

自閉症スペクトラムの最新知識が欲しかったのでこの本は読んでみたかったです。ようやく手に入れました。さまざまな医師の間で必ず話題に上る著者サイモン・バロン=コーエンさんの日本語の書籍の中では一番新しいと思われます(でも2011年出版、原著は2008年)

内容はまず実例を提示したのちに、自閉症の概念の歴史や測定方法、心理学・生物学的な考察と最後に介入(支援)まで幅広く浅く、でもポイントはバッチリおさえてある良書といえるでしょう。

アンドリュー君に共感

つい先ほど食料についての記事の続きを突然思い立って投稿したのですが、これは実例に出てくるアンドリュー君のエピソードを読んで触発されたからです。

自閉症スペクトラムの例として出てくるアンドリュー君はかなり優秀な部類で、イギリスの学校(中学校相当?)を退学した後、独力で大学に入りました。自然科学の能力が非常に高いのに、雑談はできないし教師を質問攻めにしたり同級生と衝突してイジメにあったりしていたそうです。

彼は常に同じものを食べる。それは全粒粉のビスケットとミルク。彼は、健康を維持するために必要なすべてが補給でき、極めて経済的である彼独自の食事方法を守っている。彼は、彼自身の視点だけでしか考えないので、自分の奇妙な味覚を人がどう思うか全く気にしない。

これを読んで、うわやってること自分と全く同じじゃん!と衝撃を受けたのでした。うんうん。やるよねーそういうこと。

私の現在の主食は玄米です。玄米は、一般的には不味くて食べられないと不評ですが、私は玄米だけ食べれば生きていけるのなら、玄米以外には何もいらないと考えます。ごはんがススムくんを筆頭としてふりかけ、タクアン、梅干し、卵と醤油などなどご飯に添えるものは数多くあります。これはごはんだけだと一本調子で退屈するから人類が編み出した舌へのオーケストレーションと言えるでしょう。でも私はご飯だけでいくらでも食べられます。おかずすら必要ないと思えるくらいです。同様の理由で、食パンにバターやマーガリン、ジャム、マヨネーズ、シナモンなどをかけずとも、むしろトーストせずともいくらでも食べられます。小麦粉ももしかしたらそのまま食べられるかもしれません。でもアルファー化してないから消化悪くてダメかな?

共感化ーシステム化仮説

自閉症の原因を説明するものとして、5つの仮説があるそうです。本書では5つとも説明されていますが、サイモン・バロン=コーエンさん「共感化ーシステム化仮説」を一番推しています。これは以前読んだ広沢先生の本とほぼ同じ見解です。広沢先生がバロン=コーエンの書籍にかなりを負っているので当たり前と言えば当たり前なんですけれど。ただし、広沢先生は患者の一人が語っていた「タッチパネル」という概念にインスピレーションされて、独自の解釈をされています。

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共感化ーシステム化仮説とは、文字通り社会化を「共感」「システム化」という2つの概念に分類し、自閉症スペクトラム者を「システム化」に特化したものとして見るという立場を取る仮説です。

「システム化」とは、分析と規則性への希求です。抽象化のシステムなら言語の文法(大好き)、数的なシステムなら時刻表(大好き!アプリケーションも作った)、自然のシステムなら天気のパターン(毎日チェックしてる)、収集のシステムなら石の種類の分類(CD集めてます)、などなどが例として挙げられています。規則性・ルールに注目してそれらを組織化し、システム化することが大好き!ということです。これらは細部の注意に向けられがちですので、一般化、ざっくりとした理解が難しいということだそうです。

自閉症スペクトラム者は「共感」のシステムが遅れがちということですが、残念ながらシステム化への機能の集中によってなぜ共感が遅れるのか、については記述がありません。ページ数の都合だと思います。

少し前に読んだ「心の理論」が欠如しているとする仮説「マインドブラインネス仮説」も5つの仮説のうちの1つです。

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「マインドブラインネス仮説」と比べて「共感化ーシステム化仮説」が優れているところは、自閉症スペクトラムを「欠如・欠陥」ではなく「目的の違い」としてとらえていることです。更に言えば「システム化」は時間をかけていくらでも拡大することが可能ですから、「共感」を獲得することすら可能である、という非常に希望に満ちた概念であるとともに、私の実感とも合致するものです。「欠陥」ではなく「違い」とみなすなんて素敵じゃないですか!

日本人が有利な点と不利な点

「マインドブラインネス仮説」は共感が苦手であることを説明する点では優れていますが、1点変だなと思うことがありました。それはP91の「成人版 視線からの心の読み取りテスト」です。

画像が無いので苦しくも文字で説明します。西洋人の目だけ抜き出した写真が載せられていて、これは「すまないと思っている」「うんざりしている」「興味がある」「ふざけている」のどれを表しているのか、という問題でした。このほかにもう1問ありましたが、私は正解しました。日常だと実感として人の心が全然読めないというのに、です。

ここで一つ思いついた仮説があります。日本は漫画文化が栄えています。私も沢山読みました。漫画は感情を写実的に表し、登場人物がそれを社会通念に合わせて解釈する、しかも売らなければいけないメディアとしての性質上、非常に分かりやすいという特徴があります。このおかげで、私は静的な表情をパターン化しシステム化することに成功したんじゃないのか、と考えました。

ところが日常生活の表情は動的で、0.1秒で変化してしまいます。漫画のように解釈を待ってくれません。しかも日本人は表情に乏しい。西洋人のボディーランゲージや表情の豊かさは少しドラマや映画を見りゃ分かります。したがって、表情を読む機会に大きく欠けます。

ということは私に欠けている能力は西洋人のドラマや映画をたくさん見れば補えるのか?という疑問が生じます。これはやってみないとわかりません。箱の中の世界が現実に結びつかないような気もします。

静的な画像処理能力はきっとマンガを読めばつきます。たくさん漫画を読みましょう。これを応用して動的に処理できればいいんですが、実際にどうしたらいいのかわかりません。今後の課題です。

簡易チェックテスト

巻末に自閉症スペクトラム指数(AQ)の測定テストが収録されています。50点満点で32点以上だとアスペルガー高機能自閉症が疑われます。私は41点でした。平均は女性で15点、男性で17点だそうです。

maminyan.com

ここにも同じものがありますので、興味のある方はテストしてみてください。ちなみにこのテストはあくまで「目安」ですので、32点以上だからと言って必ず自閉症スペクトラムというわけではありません。医師の診断は必要です。とはいえ、高得点ならかなり蓋然性が高いと思います。